Claude Code Routines:繰り返し作業をAIに任せる、新しい働き方の入口
1. イントロダクション
「毎日同じような作業を、また今日もやっている」
そう感じたことはありませんか。コードを書く仕事に限らず、決まった手順で進める作業というのは、どんな職場にも存在します。
Anthropicが開発したAIアシスタント「Claude」には、最近「Routines(ルーティン)」と呼ばれる考え方が注目されています。これは、繰り返し発生する作業の手順をあらかじめ定義しておき、AIに一貫した形で実行してもらうための仕組みです。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、本質はとてもシンプルです。「いつもこの順番でやってね」という指示書をAIに渡しておく、それだけのことです。
この記事では、Claude Code Routinesとは何か、なぜ今注目されているのか、そして実際にどう活用できるのかを、専門知識がなくても理解できるように丁寧に説明していきます。
2. 基礎知識・用語解説
まず、この話題を理解するために必要な言葉をいくつか整理しておきましょう。知らない言葉が出てきても、ここで確認しながら読み進めてください。
Claude(クロード)とは
Anthropicというアメリカの企業が開発したAIアシスタントです。文章を書いたり、質問に答えたり、プログラムのコードを書いたりすることが得意です。ChatGPTと同じような「会話型AI」の一種だと思ってください。
Claude Code(クロード・コード)とは
Claudeの中でも、特にプログラミング(コードを書く作業)に特化した使い方・ツールのことを指します。開発者がターミナル(コンピューターに命令を入力する画面)から直接Claudeを呼び出して、コードの作成や修正、確認などを行えます。2025年に入ってから急速に普及しており、エンジニアの間で広く使われるようになっています。
Routines(ルーティン)とは
「決まった手順の繰り返し」という意味です。たとえば「毎朝、メールを確認してから、タスクリストを更新して、会議の準備をする」というような、順番が決まっている一連の行動のことです。
Claude Code Routinesとは
上記を組み合わせると見えてきます。「Claude Codeを使って、決まった手順の作業を自動的・一貫的に実行させる仕組み」です。
具体的には、「このファイルを開いたら、まずこのチェックをして、次にこの処理をして、最後にこのレポートを出力して」という手順書をあらかじめ用意しておきます。そうすることで、毎回ゼロから指示を出さなくても、AIが同じ品質で同じ作業を繰り返してくれるようになります。
なぜ「手順書」が大切なのか
AIは指示が曖昧だと、毎回少しずつ違う結果を返すことがあります。手順を明確に定義しておくことで、ブレのない安定した出力が得られるようになります。これがRoutinesの核心です。
3. トレンド分析
開発者コミュニティでの盛り上がり
2025年の春から夏にかけて、Hacker NewsやRedditのプログラミング関連コミュニティでは、Claude Codeに関する投稿が目に見えて増えています。特に注目されているのが、「どうすればClaudeに一貫した作業をさせられるか」というテーマです。
多くの開発者が「Claudeは優秀だけど、毎回少し違う答えが返ってくる」という悩みを共有しており、その解決策としてRoutinesの考え方が広まっています。
CLAUDE.mdファイルという文化
コミュニティの中で特に話題になっているのが、「CLAUDE.md」と呼ばれるファイルの活用です。これは、プロジェクトのフォルダの中に置いておく「AIへの指示書」のようなものです。
たとえば、こんな内容を書いておきます。
- このプロジェクトで使っているプログラミング言語のルール
- コードを書くときに守ってほしい社内のスタイル
- 作業を始める前に必ず確認してほしいこと
- 作業が終わったら必ず実行してほしいテスト
Claude Codeはこのファイルを自動的に読み込み、毎回の作業でその指示に従ってくれます。これがRoutinesの実装として最も広く使われている方法のひとつです。
「エージェント的な使い方」への移行
もうひとつの大きなトレンドは、AIを「一問一答のツール」から「自律的に動くアシスタント」として使う方向への移行です。
従来の使い方は「質問する→答えをもらう→また質問する」という繰り返しでした。しかしRoutinesを活用すると、「この作業全体をお願いします」と言うだけで、AIが複数のステップを自分で判断しながら進めてくれるようになります。
Redditのr/ClaudeAIやr/programmingでは、「朝イチでClaudeに昨日のコードレビューをルーティンとして走らせている」「デプロイ前のチェックリストをRoutinesで自動化した」といった実践報告が増えています。
企業導入の加速
個人の開発者だけでなく、企業レベルでの導入も進んでいます。特に注目されているのは、「新しいメンバーが入ってきたときに、Routinesがあればすぐに同じ品質で作業できる」という点です。
ベテランのやり方をRoutinesとして文書化しておくことで、チーム全体の作業品質を底上げできるという声が多く聞かれます。これは単なる効率化ではなく、組織の知識を形式化して共有するという意味でも価値があります。
注意点として語られていること
一方で、コミュニティでは慎重な意見も出ています。「Routinesに頼りすぎると、AIが何をしているか理解しなくなる」「手順書の品質が低いと、間違いも一貫して繰り返してしまう」といった指摘です。ツールとして使いこなすには、仕組みへの理解が欠かせないという認識が共有されています。
4. Spectralの見解
「自動化」より「標準化」という視点で考える
Claude Code Routinesについて話すとき、私たちSpectralがまず強調したいのは、これは「自動化ツール」というより「標準化の仕組み」だということです。
自動化というと、「人間の仕事を奪う」「ボタン一つで全部やってくれる」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際のRoutinesの価値は少し違うところにあります。
それは、「暗黙知を形式知に変える」という点です。
ベテランのエンジニアが「なんとなくこの順番でやるといい」と感覚的に知っていることを、言葉として書き出してRoutinesに落とし込む。このプロセス自体が、チームにとって大きな資産になります。
初学者にとっての意味
プログラミングを学び始めたばかりの方や、AIツールを使い始めたばかりの方にとって、Routinesは「お手本を作る作業」だと考えるとわかりやすいかもしれません。
「この作業はいつもこうやるんだよ」という先輩のやり方を、AIへの指示書として書いておく。そうすることで、AIが毎回そのお手本通りに動いてくれます。
これは、新しいメンバーへの引き継ぎ資料を作るのと似ています。作る手間はかかりますが、一度作れば何度でも使えます。
導入時に気をつけてほしいこと
Spectralとして、ひとつ正直にお伝えしたいことがあります。Routinesは「作れば終わり」ではありません。
手順書は、プロジェクトの変化に合わせて更新し続ける必要があります。古い手順書をそのまま使い続けると、現実と合わなくなった指示をAIが忠実に実行してしまうという問題が起きます。
また、Routinesを作る前に「この作業の目的は何か」「どんな状態になれば成功か」を明確にしておくことが大切です。目的が曖昧なまま手順だけ作っても、期待した結果にはなりません。
AIと人間の役割分担
私たちが考える健全な使い方は、「判断は人間が、実行はAIが」という分担です。Routinesによって実行の部分をAIに任せることで、人間はより本質的な判断や創造的な作業に集中できるようになります。これがAI導入の本来の目的だと、私たちは考えています。
5. 実践的アプローチ
では、実際にClaude Code Routinesをどのように始めればよいのでしょうか。プログラミングの経験がない方でも理解できるよう、段階的に説明します。
ステップ1:まず「自分のルーティン」を言葉にしてみる
Routinesを作る前に、まず自分が繰り返しやっている作業を書き出してみましょう。
たとえば:
- 毎週月曜日にやっていること
- 新しいファイルを作るときに必ずやること
- 作業が終わったら確認していること
これをメモ帳に箇条書きで書くだけで構いません。「AIへの指示書」を作る前に、まず自分のやり方を整理することが大切です。
ステップ2:CLAUDE.mdファイルを作ってみる
Claude Codeを使っている方であれば、プロジェクトフォルダの中に「CLAUDE.md」という名前のファイルを作ってみてください。
中身はシンプルで構いません。たとえば:
```
このプロジェクトについて
- 使用言語:Python
- 目的:売上データの集計
作業を始める前に必ずやること
- 1.既存のファイルの構成を確認する
- 2.前回の変更履歴を確認する
コードを書くときのルール
- コメントは日本語で書く
- 関数には必ず説明を書く
作業が終わったら必ずやること
- 1.テストを実行する
- 2.変更内容を一行でまとめる
```
このような形で、自分のプロジェクトに合わせた内容を書いていきます。
ステップ3:小さく始めて、少しずつ育てる
最初から完璧なRoutinesを作ろうとしなくて大丈夫です。まず3〜5項目の簡単な手順から始めて、「これは毎回書かなくてよくなった」「この確認が自動化できた」という体験を積み重ねていきましょう。
使っていくうちに「この手順が足りない」「この指示は曖昧だった」という気づきが生まれます。その気づきをもとにRoutinesを更新

Author
森島拓生
Spectral 代表 / AI導入・エージェント設計
Spectral代表。AI Development & Consultingを軸に、非エンジニアとの対話から要件定義を構造化する「上流工程AI」や、AIエージェントによる業務自動化の設計・検証に取り組む。技術を導入して終わらせず、現場で継続して使える運用設計までを重視している。
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